#17
高校から大学にかけて、どシンプルな白のエアフォース1を4年くらい毎日履き続けた。
どんな服装にも合うし、自分の足や体型にも合って、気に入っていた。
それと、ベタではあるけど、長く履くにつれてちょっとずつ汚れていくのが、勿体ないけど少し嬉しかった。
最近履き始めたわけじゃない、ずっと長く履いてるという期間をその汚れが物語ってるような、そんなこと周りは何も気にしてないし、自分しか意識してないこととは分かってるけど、何となくそれだけで心強かったのかもしれない。
何か特別なエピソードがあるわけではない。
履きに履き潰して最後は靴底まで剥がれて、普通に捨てた。
けど、あのエアフォース1を履いていた時期というものは、今も自分の中に確かにある。
色んな日に色んな場所へ色んな気持ちで、あのエアフォース1を履いて向かい、歩き、過ごした記憶。
今もうエアフォース1を履きたいと思うことはないし、絶対に新しい一足を買うことはないけど、あの頃はお世話になりましたと、そんな気持ちをあの靴には抱いてる。
世代を超えて普遍的に愛されている靴なので、今でも若い学生が履いているのを見かけることがよくある。
そのたびに、自分は心の中で
「まだそんくらいしか汚れてないんか、遅れてんなあ」
と謎の悦に浸ったり
「これから色んなことあるやろけど、何とか頑張ろうなあ」
とキモい心のエールを送ったりなど、たまにしている。