letter

記録

#11

父方の祖父母と自分は、あまり関係性が深くない。

 

母方の祖父母のことはそれなりに好きだし、思い出もそれなりにある。

 

ただ、父方の方にはあまり思い入れがない。

 

物理的に一緒に過ごした時間が少なかったのか、何となくソリが合わなかったのか、理由は分からないが昔からそう感じていた。

 

そもそも父方の祖父母と言っても、祖父の方には会ったことすらない。

 

祖父は父親が若い頃に大喧嘩の末家を出て行ったらしく、籍こそ入れたままなものの、その時からずっと別居状態とのことだった。

 

父親はあまり祖父の話をしたがらない。

 

自分にとっても全く関わりのない、存在するのかどうかの実感すらあやふやな人だった。

 

そんな祖父が亡くなったとの知らせが、父方の親戚伝いで我が家に舞い込んできたのが、去年の暮れのことだった。

 

自分にとっては、会ったこともないただのお爺さんである。

 

それでも、自分を産んだ母親の配偶者の父親である。

 

その人が存在しなければ、自分は今こうしてこの世に存在しなかった。

 

紛れもない確固たる事実である。

 

話を聞くと、これまた自分にとって一才縁もゆかりもないような遠い場所で、独り亡くなっていたようだった。

 

年は明けて令和3年。

 

今度は追うようにして祖母が亡くなってしまった。

 

ここしばらく、ほぼ寝たきりのような状態が続いているとだけ聞いていた。

 

容態が急変したとのことで子ども達が駆けつけた頃には、既に息を引き取っており、誰も最期を見届けることが出来なかったらしい。

 

正直な気持ちで言うと、冒頭で述べたようにあまり深い関係性や思い入れのある人達ではなかったので、悲しみのような感情はあまりない。

 

ただ、もう何十年も顔を合わせていなかった二人が、示し合わせたかのようなよく似た最期を迎えたことが、少し不思議だなと思った。

 

自分の人生の最後は、どんな終わり方をするんやろうか。